上腕二頭筋腱炎
- 腕を動かすと肩や肘の前あたりがズキズキ痛む
- 重い物を持つときに腕の前側が痛む
- ドアノブを回したり、物をつかんだりするのがつらい
- 日常のちょっとした動作で痛みが気になる
- 病院やレントゲンと撮ったけど、異常ないと言われた
上腕二頭筋腱とは?
上腕二頭筋腱(じょうわんにとうきんけん)は、上腕二頭筋(力こぶを作る筋肉)が骨に付着するための強い繊維組織です。
この腱は、筋肉が収縮する力を骨に伝え、肘を曲げたり手首を回す動作を可能にします。
上腕二頭筋腱は2つに分かれており、どちらも重要な役割を果たします。
①長頭腱:肩関節の上部から伸びており、肩の安定性を保つ役割がある。
②短頭腱:肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)という部分に付着している。
上腕二頭筋腱炎とは?
上腕二頭筋腱炎(じょうわんにとうきんけんえん)とは、上腕二頭筋の腱に炎症が起きた状態のことを指します。
この腱は、肩や肘を動かす際に重要な役割を果たしており、繰り返しの動作や負担によって損傷しやすい部位です。
上腕二頭筋腱が炎症を起こすと、肩や肘の動きに支障をきたし、日常生活やスポーツが困難になることがあります。
わかりやすく言うと...
上腕二頭筋腱炎は、「腕をたくさん使いすぎたり、無理な動きをしたりして、上腕二頭筋の腱が疲れすぎて痛くなってしまう状態」です。
放置すると悪化する可能性があるため、早めの休息や治療が大切です。
なぜ、痛いの?治らないの?
原因
●繰り返しの動作
重い物を頻繁に持ち上げたり、腕を使い続けたりすると、腱に負担がかかります。
●無理な姿勢や動き
姿勢が悪いまま運動や作業をすると、筋肉や腱に過度な力が加わることがあります。
●加齢による変化
年齢を重ねると腱が弱くなりやすく、炎症を起こしやすくなります。
●スポーツや運動
テニスや野球など、腕を大きく振ったり繰り返す動作が多いスポーツも原因になることがあります。
改善しない理由
▲安静にしていない
痛みがあっても日常的に腕を使い続けると、腱が回復する時間が取れません。
▲適切な治療を受けていない
自分で痛み止めを使うだけでは、根本的な原因を改善することが難しい場合があります。
▲原因となる動作を繰り返している
正しい姿勢や動きに気をつけないまま、同じ動作を続けてしまうと腱への負担が増えます。
▲治療を途中でやめてしまう
痛みが少し良くなったからといって治療を中断すると、再発するリスクがあります。
どうしたらいいの?
症状
◆肩や肘の前面の痛み
特に上腕の前面で、肩や肘の動作時に痛みを感じやすい。
◆痛みが動作で増加
物を持ち上げる、押す、引くなどの動作で痛みが悪化する。
◆肩の可動域制限
腕を上げたり回したりする動きがしにくくなる。
◆押したときの圧痛
上腕二頭筋の腱の部分(肩や肘の前面)を押すと痛みを感じる。
◆腫れや炎症
腱の周囲が腫れたり、炎症による熱感がある場合がある。
◆弱さや力の低下
上腕二頭筋が関与する動作(特に肘の曲げ伸ばしや手首の回転)で筋力が弱く感じる。
◆動作時のクリック音や引っ掛かり感
腱の損傷や滑りの異常により、動作中にクリック音や違和感を感じることがある。
◆夜間痛
特に肩を動かさずに安静にしているときでも痛むことがあり、睡眠を妨げる場合がある。
予防法
■正しいフォームで運動する
ウェイトリフティングやスポーツなどの動作で、正しいフォームを意識し、無理な動きを避ける。
■適切なウォームアップ
運動前に肩や肘を中心としたストレッチや軽い準備運動を行い、筋肉や腱を温める。
■過剰な負荷を避ける
重すぎるウェイトや長時間の反復動作を避け、適度な運動量を心がける。
■筋力バランスを保つ
上腕二頭筋だけでなく、肩や背中、前腕の筋肉をバランスよく鍛える。
■休息を取る
繰り返し同じ動作を行う場合は、適度に休息を取り、筋肉や腱を回復させる。
■適切な道具を使用する
スポーツや作業で使用する道具(ラケットや工具など)は、自分に合ったサイズや形状のものを選ぶ。
■柔軟性を高める
定期的なストレッチを行い、肩や肘の柔軟性を維持する。
■痛みを感じたら早めに対処
運動中や日常生活で痛みを感じた場合は無理をせず、早めに休息を取る。
■炎症を防ぐ生活習慣
十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理を心がける。
■専門家に相談する
自分に適した運動や負荷量を知るために、理学療法士やトレーナーに相談する。
治るまでの期間は?
上腕二頭筋腱炎の改善期間は、症状の重さや治療の内容によって異なりますが、一般的には次のような目安です。
【軽度の場合】
数週間から1ヶ月程度で改善することが多いです。
【中程度の場合】
1ヶ月から3ヶ月程度かかる場合があります。
【重度の場合】
3ヶ月以上の治療が必要なこともあります。
ただし、治療を途中でやめたり、痛みを無視して腕を使い続けると、治るまでの期間が長くなることがあります。
早めに治療を始め、正しいケアを続けることで、改善までの時間を短くすることができます。
どうしたら良くなるの?
当院での治療法
①電気療法や温熱療法・冷却療法を用いて、腱周りの炎症を抑えます。
②整体にて、筋肉をほぐして患部への負担を減らします。
③テーピングやサポーターなど必要な場合は、保護します。
慢性の場合は、最新の治療器で、衝撃波治療器(=体外衝撃波)というものがあります。
体外衝撃波とは、衝撃波を患部に集中させて治療する方法です。あえて患部の組織を微細損傷させることで組織を新たに回復させます。この治療器は慢性の症状に強く、外側上顆炎の他に、肩こり、足底腱膜炎やばね指など、慢性の症状には効果があります。
【上腕二頭筋腱炎と五十肩の違い】
上腕二頭筋腱炎と五十肩でよく間違われる方がいます。
一番の見極めは、「肩の動き」です。
上腕二頭筋腱炎 | 五十肩 | |
原因 | 腱への繰り返しの負担や酷使 | 肩関節周囲の組織の硬化や炎症 |
痛みの部位 | 肩の前面や上腕 | 肩全体、特に動かしたとき |
動きの制限 | 基本的には少ない | 肩が上がらない、回せないなどの制限が強い |
治療期間 | 数週間~数ヶ月 | 数ヶ月~1年以上 |
簡単に言えば、上腕二頭筋腱炎は肩や肘の前面に特化した痛みが特徴で、筋肉の使い過ぎが原因、一方で五十肩は肩全体が硬くなり動きが悪くなる状態です。
接骨院と整形外科の違い
「しっかりと治したい!」
「痛みを取るだけでなく、根本的な改善がしたい!」
「今後のケアやストレッチなどのアドバイスが欲しい!」
このような方にオススメなのは、接骨院です。
当院では痛みのある部位だけでなく、身体全体のバランスを診てその方に合った治療法やアドバイスをしています。
治療方法も電気だけではなく、早期回復に向けて症状に合わせた治療器を組み合わせて施術しています。
特にスポーツをしている方は、柔軟性を高めることでスポーツへのパフォーマンスも上がりますので、ストレッチ指導もしっかり行なっていきます。
「どこに痛みが発生しているのか?を画像で見たい!」
「大切な用事があるので、一時的にでも痛み止めで軽減したい!」
このような方にオススメなのは、整形外科です。
ただし、痛み止めは一時的な軽減にしかなりません。
根本的な改善方法は、痛みのある部位だけでなく、大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)の硬さを取ったり、柔軟性を高めることが重要になります。
あくまで、痛み止めは一時的には効果がありますが、炎症が治まるわけではないことを知っておきましょう。
再発予防のセルフケアメリットとは
痛みを起こさないようにするためには、自分でストレッチを行なうことが大切です。
肩周りの筋肉や腕の筋肉をほぐすことで、負担が軽減できます。